ずぼら食堂・秋

いくらの醤油漬け

「お母さんが送ってくれたから、今日いくら丼やろう!」

あれは大学1年の秋だったのだろうか。大学構内の女子寮にに呼ばれて、気がついたら目の前に炊きたてほかほかのごはん。

「はい、かけるよ〜」

札幌出身の友人は、毎年このいくらの醤油漬けを母が作ってくれるのが楽しみだと話してくれた。ご飯の上に溢れそうなくらいのったそれは、太陽の光を浴びて宝石のように輝いていた。

美しすぎる。

一口食べると、いくらはすぐ潰れずに口の中を転がりまわり、ひとたび咀嚼すると勢いよく弾けていく。それまで、こんな口のなかで踊りだすような新鮮ないくらを食べたことがなかった。

ただただひたすら感激し、光り輝くいくらを眺めて愛で、口の中でまた愛で、幸せを噛み締めた秋の昼下がりをわたしは鮮明に覚えている。

北海道に来てやっとあのいくらの正体を知った。

毎年9月ごろになるとスーパーに並び出す筋子。これを加工していくらを作るのだと夫が教えてくれた。

友人の家ならではのことだと思っていたら、北海道あるあると知り再びカルチャーショックを受けた。

もともとバラバラになっていないのか!友人の母上はこれでわざわざ自家製いくらを作ってくれていたのか!

母の愛を知るとともに、あの感動をもう一度味わいたくなった。

やってみると意外と簡単。

<用意するもの>

ざる、ボウル、熱湯、塩

調味料:醤油(うすくちが良い)酒、味醂(入れてもいいけどすこし傷みやすくなる)

だいたい筋子250g~300gに対して、醤油と酒は大匙2ずつ。みりんは1。

<作り方>

①調味料をなべに混ぜて、沸かす。そのまま放置。

②塩お湯を作る。50~40度くらいのお湯1Lに対して、大匙2ほどの塩を足してかき混ぜる。

その後も塩お湯は使うので多めに作っておくとよい。

③ボールに筋子を入れて、②のお湯をかける。

④湯の中で、イクラを包んでいる膜をはぐ。親指の腹で優しく押すと潰れない。水が濁り、いくらが白っぽくなるがお気になさらず。いくらを包んでいた大きな膜がとれたら、一度お湯を捨てる。静かに流せばいくらは流れていかない。

⑤またお湯を足して、今度はさっき取りきれなかった膜や、しろっぽい皮などを取り除く。これを繰り返す。

⑥何回も繰り返すと、「いくらがキラキラしてくる」(by友人母)ので、小一時間ざるにあげてしっかりと水を切る。薄皮を全部取りきるのは難しいので、ある程度でよい。

⑦清潔な容器に掬い取り、①で作った漬け液を静かに流しいれる。冷蔵庫で一晩置く。

スーパーのお寿司コーナーで干からびているやつなんて、いくらじゃない!と言わんばかりのいくらが完成するハズ。

でも正直なところ、今回ご紹介したやり方がベストなのかはわからない。(読んでくれた方すみません)

お湯の温度、塩の扱い方、道具の使い方、漬け液を沸かすか否か、

人に伺ってもネットで調べても、工程は千差万別だ。

分かったのは、やわなフリして、いくらは結構どんな扱われ方をしても案外大丈夫なことと、きっと家の数だけやり方があるのだということ。

金額が張るのでしょっちゅう挑戦はできないが、毎年やって自分のやり方を極めたい一品。

ウチはこうするという方、今度実際にやって見せてほしい!

この記事を書いた人

ぴりか

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AB型左利き、ついでに夫もAB型。東京山形を経て2015年から道民。 好きなことは、食、登山、漫画、朝ドラなど。