こんにちは。
少しづつ陽が長くなってきましたね。
今日は、ある家族を描いた、こちらの一冊をご紹介します。
さくら
著者:西加奈子
発行所:株式会社 小学館
長谷川家は、絵に描いたように幸福な家族でした。
仲の良い両親、人気者の兄、美少女ながら男勝りの妹、
そして可愛い犬のサクラに囲まれ、
主人公の薫も平和な少年時代を過ごします。
しかし、ある事件を機に、家族はばらばらになっていきます。
現実は幸せなことばかりではないということを受け止め、
乗り越えようとする長谷川一家。
そして、ばらばらになりそうな家族を見守って、そっと繋いでくれるサクラ。
わたしも昔、犬を飼っていたのですが、
そうそう、わんこって、いつの間にか家族の中心になってくれるんだよなあ…って、
読むたびに、そのさりげない距離感を思い出します。
家族の生活が中心のような気持ちで暮らしていても、
いつの間にか、わんこがそれを見守って、寄り添ってくれているんですよね。
わんこが話す言葉というのか…、何が言いたいかって、
一緒にいると、不思議とわかるんだよな~、なんて。
主人公の薫の目線で、
幼少期から家族の思い出が語られていくのですが、
長谷川家の人たちって、子供でも、妹でも、弟でも、
年齢は関係なく、「一人の大人」のように言動を尊重するんです。
そんな姿勢が素敵で、こう生きたいものだなあと思わせてくれます。
作者の西さんが書く文章は、
飾ったところがなく、友だちと話しているような、
直接届くような言葉がとても好きです。
何かを見失いかけながらも、
根底に深い愛情を持つ長谷川一家が、
愛おしくてたまらなくなります。
でもハンカチは必須の一冊です…(T_T)
月並みな言葉ですが、
何かにつきあたっても、辛くても、前に進まなければいけないんですよね。
こちらの作品、2020年の秋ごろに、実写映画化も決まっているようです。
ぜひ手に取ってみてくださいね。