ココの詩

こんにちは、松川まりこです。

 

今日は、芸術の秋も終盤、

美術館の絵画にまつわる物語をご紹介します。

 

 

ココの詩

著者:高楼方子(たかどのほうこ)

画:千葉史子(ちばちかこ)

発行所:株式会社リブリオ出版

 

 

「ココのうた」と読みます。

物語の舞台は、イタリアのフィレンツェ。

人間が暮らすこの街で、ネコやネズミたちに焦点をあてた世界が描かれます。

 

ある日、自由を手に入れた人形のココは、外の世界へと飛び出しますが、

一目惚れした、ちんぴらネズミのヤスに騙され、

ウフィツィ美術館に住む、金貸しのカーポという猫に

借金のカタとして売られてしまいます。

 

騙されたと知らないココは、ヤスへの想いを募らせながら

カーポのもとで召し使いとして過ごしますが、

ある日、ネズミのモロと知り合い、

カーポ達が絵画の贋作を作っていること、

ヤスもそこに加担していることを知ります。

ココはモロと共に、贋作一味のたくらみを阻止することを決めます。

 

人間の目を盗み、絵画の贋作を作っては、こっそり美術館の絵とすりかえ、

売りさばくネコたち(と彼らに胡麻をするヤス)と、

この贋作一味をつかまえようとするネズミ(とそれに協力するココ)のお話です。

 

ただの人形から動けるようになったとき、

疑うことを知らず、世間も知らず、

幼い子供のようだった人形のココが、

出会いや経験をとおして、だんだんと自分で考えることを覚え、

一人の人間の少女になっていきます。

 

贋作一味のリーダーで、悪人のはずなのに、

なんだかんだココを可愛がってくれるカーポに対する辛さ、

そして、だめだとわかっているのに、

会うとやっぱり惹かれてしまうヤスのこと…、、

 

登場人物の気持ちの温度や揺れから目が離せません。

児童文学ではありますが、この感情のやりとりは、

大人のほうが深く感じられるかもしれません。

 

最後まで読むと、どっと疲れるような不思議な気分になりますが、

その余韻に惹かれて、何度も読み返してしまう一冊です。

でも、これだけ言っておくと、ラストはかなり衝撃的です!

 

大人になるには、「いたい」こともたくさんある…、

だけど、苦しいからと忘れてしまったら、

その痛みを繰り返すだけ、、なのかもしれません。

 

物語自体が一枚の絵画のようで、

どこかひっそりとしたトーンが魅力的です!

 

 

 

初めて読んだとき(当時9歳)、ヤスってなんてクールでかっこいいんだと思っていました。

でも大人になってから読むと、ヤスってなんてダメ男!

今はただ、「ヤスはやめときなさい!」ってココに言いたいです。(笑)

 

 

 

作者の高楼さんと、素敵な挿絵の千葉さんは、実の姉妹。

函館生まれのお二人です。

 

この物語は、高楼さんが、フィレンツェに滞在していたときに、

自然と書きあがったお話だと、本の付記にありました。

きっとこの物語に漂うトーンは、

フィレンツェの空気感なんだろうな~と想像しつつ、

旅行を、そして大きな冒険をした気持ちになります。

いつか本当に行ってみたいな、フィレンツェ。ウフィツィ美術館。

 

 

 

この記事を書いた人

松川まりこ

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札幌出身、旭川在住。読書アドバイザー。 本にまつわるお話を発信します。レトロなもの、雑貨、甘いもの、カフェ巡りが好き。カバンに本を放り込んで、自転車であちこち駆け回ります♪