狐笛のかなた

こんにちは、松川まりこです。

 

今回ご紹介するのは、イチオシの和風ファンタジーの物語です。

 

 

狐笛のかなた

著者:上橋菜穂子

発行所:株式会社 新潮社

 

 

人の心を聴く〈聞き耳〉の力を持つ女の子、小夜と、

術者である「主」の命令を叶えるために生きる霊狐の野火。

そして、呪いを避けて屋敷に閉じ込められている少年、小春丸。

幼い頃に出会った三人は、それぞれに孤独を抱えながらも成長し、

やがて、隣り合う二つの国の存亡を巡る争いに巻き込まれていきます。

 

物語は、この二つの国の争いと怨恨から織りなす物語と、

〈聞き耳〉の才がある小夜の出自や能力を巡る、小夜自身の物語の二層が

折り重なっていきます。

 

はじめは小さな意地がきっかけでも、

恨みは恨みを呼んで、人も巻き込んでどんどん大きくなる、、。

人々の欲や憎しみに巻き込まれながらも、

自分の大切なものを守り、恨みの連鎖を断ち切ろうとする小夜と野火の生き方に、

本当の強さや幸せは何なのか、考えさせられる物語です。

 

 

著者は、2015年に『鹿の王』で本屋大賞を受賞した上橋菜穂子さんです。

 

上橋さんの描くファンタジーの世界は、

どこを取っても作り込まれていて、

きちんとひとつの世界として成り立っているところが魅力。

 

苦い思いをかみしめて、厳しい現実を少しづつ進んでいく人々が

描かれていることが多く、

だからこそ、ささやかな幸せがとても大きく感じられ、

そんな登場人物たちが愛しく、魅力的に感じられます。

ファンタジーに苦手意識がある方でも、読みやすいと思います。

 

 

小学生の頃、普段本を読まないという友人に「おすすめの本を教えて」と声をかけられ、

上橋さんの『精霊の守り人』というシリーズを紹介したことがありました。

わたしは深く考えず、おすすめしたと思うのですが、

友人はそれがきっかけで本が好きになり、図書室に通うようになりました。

きっと、彼女にとってその本との出会いは、衝撃だったんだろうなと思います。

本と人の出会いって面白いなと、

わたしが物語のチカラを感じたのも、上橋さんがきっかけでした。

 

 

ちなみに、上の『精霊の守り人』シリーズは、数年前にNHKで実写ドラマ化され、

本屋大賞を受賞した『鹿の王』は、2021年に映画化されるようです。

どちらも、とても素敵な作品です。

 

シリーズものが多い上橋さんの作品ですが、

『孤笛のかなた』は1作読み切りなので、

初めての方も挑戦しやすいかもしれません。

機会があれば、ぜひ手に取ってみてください(^^)

この記事を書いた人

松川まりこ

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札幌出身、旭川在住。読書アドバイザー。 本にまつわるお話を発信します。レトロなもの、雑貨、甘いもの、カフェ巡りが好き。カバンに本を放り込んで、自転車であちこち駆け回ります♪