こんにちは、松川まりこです。
今回は、家族の絆と人の温かさを感じる一冊をご紹介します。
おうちで温かい飲み物を片手に、ほっこりと読書タイムをするのにぴったりですよ(^^)
ささら さや
著者:加納朋子
発行所:株式会社 幻冬舎
突然の事故で夫を亡くしたサヤは、
生まれたばかりの赤ん坊のユウ坊を抱え、佐佐良という街に移住します。
お人好しで気弱で、頼りないサヤが心配な夫は、
幽霊となり二人を見守ることにします。
移住した佐佐良では、不思議な事件が次々起こり、
その度に、自分の姿が「見える」誰かの体に憑りついて、
サヤの手助けをする夫でしたが、
サヤが自分の力で友人を得て居場所を作っていく様子、
ユウ坊を守ろうと強くなっていく様子を間近に見て、
次第に心が変わっていきます。
そんなサヤのもとに、亡き夫の家族が、ユウ坊を養子にしたいと圧力をかけ始めます。
そしてある日、ユウ坊が誘拐され…!
幽霊となった夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの切なく愛しい日々の物語です。
人のために何かできるのも、気持ちを伝えられるのも、
生きているからなんですよね。
サヤの周りの人々の、様々な「親子のかたち」からも、
どう生きたいのか考えさせられた一冊でした。
前向きで温かい連作ミステリーですが、
想像を一歩超えたラストシーンに、泣かされること間違いなしです(T_T)
著者の加納朋子さんは、
ミステリー作品の「日常の謎」というジャンルの代名詞のような作家さん。
「日常の謎」では、殺人事件などはあまり起こらず、
日常の不可解な出来事を解き明かしていく、というものです。
この作品も、最後にどこか優しい気持ちになる「日常の謎」を解いていきます。
『ささら さや』はシリーズとなっており、(通称・ささらシリーズ)
『てるてるあした』『はるひのの、はる』の全3作となっております。
あとの2作は、どちらもサヤが主人公ではなく、
それぞれ単発で読んでも成り立つ物語なのですが、
先に『ささら さや』を読んでいると、その後のサヤの様子も垣間見え、
ユウ坊の成長に、まるで自分が親戚のおばさんになったかのような感動を覚えます(笑)。
小さなお子さんがいるご家族にも、
ぜひ一度手に取ってみていただきたい物語です。