こんにちは、松川まりこです。
高校時代、みなさんどんな思い出がありますか?
今となっては楽しかったなあ~と思い出すことのほうが多いとしても、
当時の自分は、狭い学校の中の世界に生きていて、
キラキラした青春の瞬間だけではなく、
どこか何かしら、思い通りにいかないモヤモヤとした感情も、
きっとあったのではないでしょうか。
誰かがうらやましいな~と思う気持ちだったり、
見栄だったり、意地だったり、理想と現実のギャップだったり…、
モヤモヤの原因は様々ですが、
当時は当時で、しんどいなあと思うこともあったはずなんですよね。
今日ご紹介するのは、そんなリアルな気持ちが思い出される一冊です。
太陽の坐る場所
著者:辻村深月
発行所:株式会社 文藝春秋
高校卒業から十年。
クラス会に欠席し続ける、今や人気女優となったキョウコを呼び出そうと、
かつての同級生たちが画策します。
…が、一人ずつ連絡が取れなくなっていきます。
高校時代に何があったのか、
五人の同級生の目線から、高校時代の回想と現在進行の状況が語られます。
次第に物語の真相が明らかになっていきますが、
それがサスペンスのようでもあり、展開に目が離せなくなります。
自分を認めてほしい気持ちや、妬みやずるさや…、
細やかな感情がリアルで、胸が苦しくなります。
同じ空間で同じ時間を過ごしていても、
それぞれ見えている景色が違うものなのだということにも、改めて気付かされます。
そして、自分が見えていると思った物語も、
どこからか「ズレ」ている…?
読み終わったあとに、もう一度最初から読み直したくなる一冊です!