第23回「銭湯の営業さいごの日」

湯~だいあり~

夢は地元札幌で銭湯経営すること。東京都内の銭湯で3年半働き、現在は札幌市内の銭湯にて修行中の大沼有加が銭湯で働く日々や、気になる銭湯の紹介をしています。

こんにちは。ご無沙汰しております、大沼有加です。

4月。季節は春ですが、先日は二日連続で雪が降っていましたね。
朝晩はまだまだ寒く、マフラーを巻いていたくなる日も多いです。
そうは言っても、雑誌やSNSで見る色とりどりの春の装いにワクワクする時期ですよね♩
わたしも、毎日スニーカーで家を出られることに喜んでいます^^

さて、先日こちらで紹介させていただきました北34条の渥美湯さんですが、3月をもって営業を終了されました。
個人的によく利用させていただいており、女将さんの人柄もお店の雰囲気も優しく大好きな銭湯でしたので、非常に淋しい気持ちです。

今日はそんな渥美湯さんの営業最後の日について、少しお話したいと思います。

営業最終日の3月31日

この日は絶対に行こうと決めていました。

「こんにちは^^」といつものようにお店に入ると、
「とうとう最後になりました」と、どこかほっとした表情の女将さん。

休憩スペースのテーブルには、お客さまからの綺麗なお花がたくさん並んでいました。

「最近来られてなかったんだけど、やっと歩いて来たの」
久しぶりにいらした様子の常連さん。
「うち今日で辞めるのさ」
「うん、そう聞いたからさぁ〜」

脱衣場では、「これからどこ行くの?」「どこ行こうかしら」「あなたあそこが近いんじゃない?」「わたしあっちの方が近いのよ」と、これから通う銭湯について話す常連さんたち。

浴室に入ると、洗い場がいっぱいいっぱいになるほどのお客さんが。

湯船に浸かりながら、洗い場ではいつも通り、背中を流しあう常連さんの姿を見つめていました。

「お世話になりました」
「ありがとうね」
「またすぐどこかで会ったりしてね」
と声をかけて最後の渥美湯の浴室を後にする常連さんたち。

まるで卒業式の日のようなあたたかい会話に、本当に素敵な場所だな〜と、涙が止まらなくなりました。

改めてこの日、わたしは銭湯という場所が大好きで、銭湯文化を無くしたくない、特に地元である札幌に今ある銭湯ができるだけ長く続くよう力になりたい、そしてその一つとして、銭湯の経営を引き継ぎたい、という思いを実感しました。

渥美湯さん、50年以上の間、本当におつかれさまでした。
大好きな銭湯でした。

〜ミニコーナー「本日の湯上がりの一曲」〜

音楽に特に詳しいわけでは全くないのですが、銭湯からの帰り道に音楽を聴く時間が好きです。
なんとな〜く、いつもと違って特別な一曲に聴こえる気がします。
そんな銭湯の帰り道にわたしが聴いた、聴きたい曲を紹介する超ミニコーナー。

本日の一曲
キース・ジャレット「I Loves You, Porgy」

銭湯の営業最後の日に感じた気持ちにぴったりとハマり、この記事を書きながらずっと聴いていました。
音に愛が溢れていて、聴くたびに泣きそうになってしまう一曲です。

では、また次回の更新で。

2021.04.12
大沼 有加

この記事を書いた人

大沼有加

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1993年生まれ。札幌市立大学デザイン学部卒業。 夢は地元札幌で銭湯経営すること。東京都内の銭湯で3年半働き、現在は札幌市内の銭湯にて修行中。