こんにちは。松川まりこです。
今日は雪降るのかなあ、あら雨か~、なんて、
毎日空とにらめっこしている、今日この頃です。
そんな時に、ふと懐かしい本のことを思い出したので、
今日はこちらをご紹介させてください。
森のおてんきやさん
作:いのうえまりこ
この手作り感..。
実は、わたしの小学生の頃の自由研究です。(笑)
2年生の頃だったはず…。ちょっと字が汚いです。
少し長いのですが、ぜひ読んでみてください。
1
森に、お店屋さんがありました。そのお店には、こんな看板が出ています。
”おてんきや”
きっとあなたのお役にたちます
♡ハル♡
店の中には、窓辺に揺り椅子がひとつあるだけです。
そして、いつもねずみのおばあさんが座っています。
彼女が、この店の主人のハルさんです。
ハルさんは、店番をしながら、ぼんやり考え事をしていました。
隣の村にいるハナさんのことでした。
窓から空を見上げて、こうつぶやきました。
「どうしてるかねえ。会いたいもんだねえ。」
2
今日は久しぶりに雨が降っています。
りすの女の子が、そうっとお店に入ってきました。
すると、ハルさんが言いました。
「いらっしゃいませ。どの天気にいたしましょう。」
そして、女の子の前にメニューのようなものを出しました。
そこには、いろいろな天気が書いてありました。
はれ、くもり、あめはもちろん、かみなり、ふぶき、あらし、
そのほか、こまごま書いてあります。
どうやら、レストランのように注文するようです。
女の子は言いました。
「はれ。」
ハルさんは「かしこまりました。」と言うと、
奥の部屋から小さなラッパを持ってきました。
そして、
「このラッパを吹くと、はれになりますよ。」と言いました。
女の子は、ラッパをもらうと、元気よく外へ飛び出しました。
そして、そうっと『ド』の音を一回吹いてみました。
すると、雨が少しだけやみました。
女の子は嬉しくなり、一気に
『ドレミファソラシドー』と吹いてみました。
すると、周りがパーッと明るくなり、大きな虹が女の子の上にできました。
外はポカポカあったかくなり、お日さまがニコニコ照り出しました。
女の子は、喜んでお店に戻って、お礼を言いました。
「はれにしてくれて、どうもありがとうございます。
今日、お母さんとお父さんとピクニックに行く約束だったの。
お母さんは夕べからお弁当の支度をしていたの。
お母さんの作ったお料理は、とってもおいしいのよ。」
そして、女の子は帰って行きました。
女の子が帰ったあとで、ハルさんは真っ青に晴れあがった空を見上げて
こうつぶやきました。
「わたしもいつか、あの子のお母さんの作ったお弁当、食べてみたいもんだわねえ。」
3
今日は、昨日に引き続き、はれです。
うさぎの男の子が元気よく店に入ってきました。
すると、ハルさんが言いました。
「いらっしゃいませ。どの天気にいたしましょう。」
そして、男の子の前にメニューのようなものを出しました。
男の子は言いました。
「くもり。」
ハルさんは、「かしこまりました。」と言うと、
奥の部屋からオカリナを持ってきました。
そして、
「このオカリナを吹くと、くもりになりますよ。」と言いました。
男の子はオカリナをもらって、元気よく外へ飛び出しました。
そして、そうっと『ド』の音を一回吹いてみました。
雲が少し多くなりました。
男の子は嬉しくなり、一気に
『ドーレーミーファーソーラーシードー』と吹いてみました。
すると、雲が集まってきて、空いちめん、くも、くも、くも……。
男の子は喜んで、お店に戻ってお礼を言いました。
「くもりにしてくれて、どうもありがとうございます。
今日、マラソン大会があるんです。
走るのに涼しくて、ちょうどいい天気になりました。
お父さん、出るんです。
お父さんの走ってる姿、とーってもかっこいいんだよ。」
男の子が帰ったあとで、ハルさんは涼しげなくもり空を見上げて
こうつぶやきました。
「わたしもいつか、あの子のお父さんの走っているところ、見てみたいもんだわねえ。」
4
今日は、昨日に引き続き、くもりです。
きつねの女の子がニコニコしながら入ってきました。
すると、ハルさんが言いました。
「いらっしゃいませ。どの天気にいたしましょう。」
そして、いつものように女の子の前に、メニューのようなものを出しました。
女の子は言いました。
「あめ。」
ハルさんは、「かしこまりました。」と言うと、
奥の部屋からウッドブロックを持ってきました。
そして、
「このウッドブロックを鳴らすと、あめになりますよ。」と言いました。
女の子はウッドブロックをもらって、元気よく外へ飛び出しました。
そして、そうっと一回鳴らしてみました。『タン』
すると、黒い雲がもわもわのぼってきました。
女の子は嬉しくなり、一気に
『タントンタントンタントン……』
すると、大雨になりました。
女の子は喜んで、お礼を言いました。
「雨にしてくれて、どうもありがとうございます。
わたしのうちのお庭には、いーっぱいお花があるの。
でも、最近雨が降ってないので、ちょっと元気がなくなってきたの。
これでもう大丈夫だわ。
うちのお花、とーってもきれいなのよ。」
女の子が帰ったあとで、ハルさんはどしゃぶりの空を見上げて
こうつぶやきました。
「わたしも、いつかあの子が育てた花を見てみたいもんだわねえ。」
5
次の日、ハルさんに一つの手紙が届きました。
その手紙には、ハルさんの双子の妹のハナさんが
病気になったと書いてありました。
ちょうどそのとき、りすの女の子とうさぎの男の子ときつねの女の子が
お店に入ってきました。
りすの女の子が言いました。
「あら。ハルさん、なんか元気がないみたいよ。どうしたの?」
そして、みんなは、ハルさんから事情を聞きました。
ハルさんの双子の妹のハナさんが病気だということ、
ハナさんの家は、隣村にあること、
険しい道で、一人じゃとても行けないこと、
心配で、気持ちが落ち着かないこと……。
それを聞いて、三人は、何か相談をしながら
それぞれの家に帰っていきました。
6
夕方になってから、トントントンとハルさんの家のドアが鳴りました。
ハルさんがドアをあけると、
りすのお母さん、うさぎのお父さん、きつねのお母さんが立っていました。
うさぎのお父さんが言いました。
「どうぞ、わたしの背中に乗ってください。
ハナさんのうちまで、背負って連れてってあげましょう。」
りすのお母さんも言いました。
「お弁当を作ってきましたよ。
向こうに着いたら、みんなで食べてください。」
きつねのお母さんも言いました。
「これはお見舞いの花束です。
ハナさんきっと元気になりますよ。」
出かける前に、ハルさんはラッパを吹き鳴らしました。
すると、雨がやみ、雲が消え、まんまるお月さまが顔を出しました。
「いってきまーす。」
二人は出発しました。
お月さまはこうこうと、道を照らしてくれました。
やっとのことで、二人はハナさんのうちに到着しました。
三人はお弁当を食べました。
疲れていたハルさんもうさぎさんも、お腹いっぱい食べて、
すっかり元気になりました。
ハナさんもお弁当を食べて、顔色が良くなってきました。
ハルさんが花瓶にお花を飾ると、
部屋中が良い香りでいっぱいになりました。
三人とも、とてもいい気分になりました。
7
次の日の朝、森の動物たちは、空を見上げました。
空は、真っ青に晴れあがった青空でした。
これはハルさんからの、
「ハナさんは元気になりましたよ。」という合図でした。
森のみんなは安心しました。
その日の夕方、ハルさんとうさぎさんは帰ってきました。
ハルさんは店に戻ると、窓辺の揺り椅子に座りました。
そして、昨日からの出来事を思い浮かべました。
うさぎさんに背負われて、連れて行ってもらったこと、
その速かったこと、
りすさんのお弁当のおいしかったこと、
きつねさんのうちのお花の美しかったこと、
ハナさんが喜んでくれたこと…。
ハルさんは、窓から空を見上げて、こうつぶやきました。
「わたしの望みがすべて叶ったのも、
全て森のみなさんのおかげだわ。
わたしももっと、おてんきやを張り切って、
みなさんのお役にたつよう、がんばりましょう。」
おわり。
読んでいただき、ありがとうございました。
ふと、窓を見ると、雪が降っていました。
雪を降らせるなら、なんの楽器が良いでしょうかね。
ちらちらふわふわ、きれいな大粒の雪を降らせるなら、トライアングルとか…?
寒くなりますが、からだには気を付けましょうね!