
こんにちは YOME⁈です。
働き出してから知った言葉があります。
「借景」
しゃっけい
と読みます。
どこまでも続く森を眺めることのできる
大きな窓のあるカフェでのこと。
「借景を生かしているだけなの」と
聞いたときのこと。
日本庭園や中国庭園における造園技法のひとつで、庭園の構成に背景の景観を取り入れることを指すのだそう。
景色を、「借りる」という発想。
言葉の作り方が素敵だなぁと思いました。
結婚した頃に住んでいた、築40年以上の家は、祖父母が建てたもの。
その頃といえば、日本庭園風の庭が一種のステイタスだった時代。
実家の祖父母の家にも、池やら松やらがあって、低いところ、高いところが作ってあり、奥行きや目線の変化をつける日本庭園づくりの庭だったなぁと。
ですから、我が家の窓から眺めるのは、
そのお庭。
その先に畑、という配置でした。
新しく家を建てるときに、家族でこだわったのは、
「この風景をたっぷり見られる」
ということ。
かくして日本庭園は解体?され(一部の岩や草木は移植しました)、居間の目の前に畑が広がる景色へと一変されたのです。
十勝の畑作は、輪作体系がとられているため、作物は畑をローテーションしながら育てられます。
今年の窓からはデントコーン、その次は小麦、その次はじゃがいも…といった具合。
だから、窓から見える風景が毎年変わるのです。
さらに、畑の向こうの防風林と日高山脈。
母が「十勝観音」と名付ける、全長20kmの壮大な観音様が横たわる姿が見られます。
さらに、見渡してみると、
家も
電柱も
電線も
そういった、人工物が見えません。
農業者が作り出す畑の風景と、
自然界が作り出す空と山と木々。
毎日毎分毎秒変わる風景は、
どれだけ見ていても
見飽きるということがありません。
構造上可能な範囲の大きさの窓を入れてもらい、窓枠もつけませんでした。
「一枚の絵みたい」
そう言って気に入ってくださる方の多い、我が家のイチオシの場所になりました。
これから始まる冬は特に美しい季節。
しんしんと振る雪が、
世界を真っ白に塗り替えていく時。
オレンジからピンク、淡いクリーム色、やがて深い藍色へと変化していく夕暮れ。
いつかの、空の話でも書きましたが、
自分のすぐ近くには、
こんなにも、美しい世界が広がっていることに、気づかせてくれる、そんな窓なんです。
景色を、借りる。
農業は作物だけでなく、
景色をつくる、仕事でもあるのだと思います。