『伊勢物語』を軽く読む

こんにちは!松川まりこです。

今回はちょっと、オタクな話(笑)しちゃおうかなと思っています。

 

 

今日のテーマは、『伊勢物語』!

校注者:小林茂美

発行所:株式会社新典社

 

 

『伊勢物語』は知ってるけど、

内容まではなあ…って方、多いんじゃないでしょうか。

平安時代のプレイボーイ!伝説のイケメン!と言われる(笑)

「むかしおとこ」=在原業平の物語。

一言で言うと、イケメン業平氏の恋愛小説です。

 

わたしは、高校のときに、わりかし有名な「六段(芥川)」を授業で扱いました。

このお話は、ざっくり言うと、

「むかしおとこ」が高貴な女性を連れ出して(盗んで)逃げ、

夜の間、倉に入ってもらい、自分は外で見張りをしていたら、

実はその倉の中に鬼がいて、女が食われてしまって嘆いたという話。

受験勉強をしていても、出てくることが多いかもしれません。

 

わたしは正直、教科書でこれを読んだときに、

あまり感情移入もできず、よくわからない話だなと思っていました。

まあ古典ってこんなものかな?とも…(ごめんなさい)

 

その後、大学で『伊勢物語』と出会ったときに、

なんて面白いんだ!と、その印象がガラっと変わったので、

今回は、みなさんにもそれを伝えたいなと。

六段(芥川)の少し前のエピソードをご紹介します!

 

在原業平が高貴な女性(たかいこさん)を連れ出すに至る前のエピソードです。

 

現代人の感覚とも似ている気がします!

ちょっとストーカーぽくもあるけど…(笑)

 

松川風現代語訳、(ちょっと注の説明混ぜてますが)

よろしければ、読んでみてください♪

 

 

―伊勢物語・第四段―

 

むかし、東の五条に大后の宮という方がいらっしゃって、

その西の部屋に高子さんという女性が住んでおりました。

 

高子さんの元には、身分は合わないけれども

愛情深い人がこっそりと通っておりました。

 

しかし、睦月の十日あたりに会ったのを最後に

高子さんは急にいなくなってしまいました。

天皇へと嫁いでしまったのです。

 

男は、彼女の居場所は聞いていたのですが、

普通の身分の者が行ける場所ではなかったので、

そこにいるのに近くに行けない…

居場所を知っているからこそなおさら辛い…と思いながら

暮らしておりました。

 

ちょうど一年が過ぎました。

 

男は、睦月の梅の花ざかりの頃に、

去年のことを恋しく思い

彼女がいないことはわかっているのに、

ひとり五条の邸へ忍び込みました。

 

立っても見、座っても見、

あたりを見回してみましたが、

やはり彼女がいた去年とは全く違っておりました。

 

それを確認した途端、悲しみが込み上げ、

はじめて涙がこぼれました。

 

そして彼は、

あの頃と一変し、がらーんと寂しい思い出の部屋に

ひとり月が傾くまで伏せっておりました。

 

そして去年を思い出しぽつりと呟きました。

 

「月やあらぬ  春や昔のはるならぬ

わか身ひとつは  もとの身にして」

 

(この月は以前と同じ月ではないのか?

春は去年の春と同じではないのか?

今日の僕は去年と変わらないのにな…)

 

そして、夜がほのぼの明けた時分に

泣く泣く帰ってゆきました。

 

―五段につづく―

 

 

こんなかんじです。切なーい!!

もらい泣きしちゃう。

 

そして、イケメンが「梅の花ざかり」に「月が傾くまで」一人泣くって、、

キレイー!絵になりますよね!!

 

ただ、実際はこのエピソードがあった頃、

業平氏はけっこうおじさんだったらしいですが…

ちょっと残念…(笑)

 

さて、この段でのポイントは、

〈月やあらぬ〉の歌の訳しかたなんです。

わたしはいま、上の句を「疑問」の形で訳したのですが、

実はもうひとつ、「反語」説もあるんです。

 

その場合、

「去年のひとは、すでにもとの身ではない、

僕の心はもとの気持ちではない、

あたりのすべてが、変わり果てて見える」

こんなかんじになります。

 

でも反語説だと、なんだか矛盾する気がして、

わたしは疑問説を押したいです。

僕は変わらないのに!ってところがミソな気がして。

みなさんはどちらが好きですか?

 

ちなみに、疑問説だとすれば、

「心余りて詩足らず」と言われる

業平の歌の典型にも当てはまるそうです!

 

心余りて詩足らず…

業平の「心」がこの歌の言葉から

はみ出してるって言うなら、

どんな気持ちを感じるでしょうか…

 

言葉にできないから良いんですけどねっ!余韻がねっ!

 

とかいろいろ考えていたら、一生楽しいです。(笑)

 

 

こんなエピソードのあとに、第六段(芥川)を読むと、

ああ、業平さん、ついに高子さんをさらってしまったのね…と、

ますます力が入りませんか?(笑)

しかも鬼に食われてしまうなんて……

 

 

もちろん、プレイボーイの恋愛エピソードは、これだけではないのですが(!)

今日は『伊勢物語』の中から一部、ご紹介させていただきました♪

 

魅力が少しでも伝われば、嬉しいです。

この記事を書いた人

松川まりこ

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札幌出身、旭川在住。読書アドバイザー。 本にまつわるお話を発信します。レトロなもの、雑貨、甘いもの、カフェ巡りが好き。カバンに本を放り込んで、自転車であちこち駆け回ります♪